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「影釣り」

著者:小田淳 著

流れに潜む気配—。釣人は一瞬にしてその気を察知する。釣り時代小説の最骨頂 「影」 許嫁が辱めを受けた朋輩が返り討ちにあった。許嫁から相談を受けた新次郎は影となり、釣竿を放つ。 「一片の竹」 釣人と谷の主の駆け引き。釣竿は毛先の延長かと思えるほど魚の動きを感じとる。気の弛みは腕から竿先へ伝わり、魚は直ちに察知して、瞬時の勝負に臨んでくる——。 「魚神一族の崩壊」 釣りを生業としてきた一族は幼魚さえも釣り上げて持ち去る。幼魚は捕らずに川へ戻すことを徹さなくては川は死ぬ。一族の狼藉を見ぬ振りはできぬ。風を切る音と電光にも等しい一閃が走る——。