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「バタン漂流記」神力丸巴丹漂流記を追って

著者:臼井洋輔 著

1830年(文政13)備前藩米を積み岡山城下を出帆、江戸に向かった神力丸は、潮の岬沖で嵐に巻き込まれ黒潮に押し流されて68日。 フィリッピン北端の無人島イブホス島の海底岩に激突。五人が死に一四人が上陸した。 奇蹟的にサブタン島の住民に助けられ温かく遇された漂流民は二年間でアジア各地を見聞して鎖国日本に帰国。 備前藩等が半年にわたって取り調べ、詳細な記録をまとめ上げた。 岡山県尻海の旧家に伝わっていたこの漂流記を手にした著者は、サブタン島バタン島を訪れ追体験を試みる。 そこには日本とのつながりをみせる修羅、木製臼杵、凹石と磨石、カヌーがあった。 スペインとキリスト教がもたらした光と陰があった。そして、なによりも漂流記の正確度に驚嘆する。